会頭挨拶

第29回日本外来小児科学会年次集会を、福岡で迎えます。九州のメンバーでお世話をするのは6年ぶりになります。たくさんの実行委員に支えられて企画が進んでいます。

今回のテーマは「子育ての、そばにいる人は誰? 〜支援マインドに支えられた小児プライマリ・ケアの道標〜」としました。育児支援の必要性が言われ始めて20年以上が経ちます。初期の育児支援は、母親の努力を認めることから始まりました。母子保健に関わる者達が、なんでも頭ごなしに教育すれば良いというものでは無いことに気づいたのです。家族の負担を軽減する努力も進みました。待機児童は我が国の大きな問題になっています。しかし、母親の努力はどんなやり方でも認めていいわけでは無いこと、また、子どもを長時間預かりさえすれば、それだけで育児支援が全うされるわけでは無いことは誰もが気づいていました。今の時代のエビデンス、地域の文化、家庭用品や育児用品の進化、環境の変化、その家族にとって妥当な選択など、多くの要素を評価し、これからしばらくの私たちの進む方向、家族アドバイスする内容を常に検討していく必要があります。しかし、アドバイスする時には、やはり我々の思い込みだけで声を荒げたり、相手を考えずに正論をぶつければ良いというものではありません。私たちは育児支援という考え方を手に入れた時代の医療者です。家族とともにいること、一緒に考える事、解決策や解決できる人物に出会うまで一緒にいることが欠かせません。第29回は多くのシンポジウムやワークショップ、その他の企画を通じて、支援マインドを忘れずに、正しい方向を伝えていく思いを共有する機会になればと祈念しています。

講演には、陶芸家として歴代最年少で重要無形文化財(人間国宝)になられた、第十四代 今泉今右衛門氏をはじめ、多くの演者をお願いしています。先端医療を垣間見たり、私たちの診療や日常に大きなパッションを与える機会が並んでいると思います。

懇親会は、会員やスタッフが一堂に会し、気兼ねなく多くの話が出来る貴重な場です。ホテルオークラで、博多の幸を楽しみながら、たくさん話しましょう。

全ての時間帯に、スタッフの方達にとっても楽しめるようなプログラムを考えました。福岡は交通の便の良い場所です。是非日曜の午後まで、たっぷりと充実した時間をお過ごしください。

第29回日本外来小児科学会年次集会 
会頭 吉永 陽一郎 
(吉永小児科医院 院長)